day//Dream

アリジゴクの中より(世界の車窓から)

『カンパネルラ』の語彙を変えて似たような意味になるやつ

a.

幼き日に先立った君へ

眠りから覚めるとき、君の墓前に咲いた竜胆のことを考える。今日の風景は昨日のそれとは違う。君はずっとそのままだ。

太陽の差し込む海でプランクトンが微睡んでいる。年代物の木製のオルガンに粘土細工が踊ってる。月日は僕を置き去りにする。

あの頃言われた年長者の言葉。僕の人生は、あの時よりも泥にまみれている。体を撫でる風に逆らわず、僕はこの街で年を取っていく。

 

最後の日まで、そのまま。君をたまには思い出しながら。

b.

幼き日に先立った君、天国はあるのだろうか。それはもう、戻りたいと思えないくらいのものが。舌の上にニコチンが広がり、煙草の熱が像を屈折させる、忘れたくない夏の一瞬。

すべてが白い鳥とさざめくツリーの並木、この景色もすべて薄れ僕の記憶になっていく。海岸の砂にプラスチック片が瞬く。君はもうここには帰って来ない。

年長者がかつて言った言葉を思い出す。君の死は僕を今でも傷つけている。水平線に太陽が沈む時、僕の人生は泥にまみれてしまったことを思い出す。

 

僕の生活は続いてく。君はもう死んでいる。躊躇いながらも、僕はひとりで。

c.

太陽を反射して硝子片が輝く。君との思い出は輝いている。今でも傷ついている。海岸では太陽を反射してプラスチック片が輝く。君はとっくの昔にもう、死んでいる。

あの頃言われた年長者の言葉。僕の人生は、これからも泥にまみれることがあるのだろう。体を撫でる風に逆らわずに立つ。その言葉は僕を生かしてる。

何度も言われた、年長者のその言葉を思い出す。ああ、君はとっくの昔に死んでしまったというのに! 水平線に太陽が沈んでいく。きっと、何度も僕は間違いながら僕は生きていく。

 

最後の日まで、時折君を思い出しながら。

 

君を。

P.S.

※この記事はフィクションです。