私達はいつだって家に帰る途中である(I am now on my way home 感想)
皆さんに帰りたい家はあるのだろうか。その家には、出迎えてくれる家族がいて………………そんなささやかな幸せはどこにだってある。そう、これを読んでる皆さんだって、帰る家くらいはあるのだろう。
I am now on my way home - 中原たか穂 | となりのヤングジャンプ https://t.co/zmy5KWhDAh
— 中原たか穂@ジェリコー連載中 (@zoo_nkhr14) 2021年5月6日
こちらも公開になりました。
第二次世界大戦中の、日系二世米兵のお話です。
ちょっと背景が複雑ですが、読んでいただけたら嬉しいです。
あなた方は今、祖国へ帰還しました。
漫画はこんなカットから始まる。you are now on your way home の訳である。あなた方は勝利しました。差別と偏見とも戦い、勝利しました。時は第二次世界大戦、日系二世にとって日々狭くなる"守るべき自分のスペース"を取り戻すためには、部隊に入り勝つしかない。そんな閉塞感のある時代。ジョンジィはそんな日系二世の青年で、やはり彼もまた戦争に米国兵として join していく……………。
幸せが壊れるときは、いつも血の匂いがする
炭治郎だってそう言ってた。噛み合わない同僚、戦争移住センター、溢れかえる日系人への差別。主人公ジョンジィはそれでもハワイ系だから、日系人の中では締め付けが緩くって、それが節々に出てていいですよね。
帰る場所を作らなきゃ
そんな思いで、戦争に行く。遥か昔の紀元前から、帰る場所を作るために、みんな戦争に行ってしまう。そこには、それぞれの帰る場所への思いがあって、そんなこととは関係なしに主人公はイタリア戦線に赴任して、米国兵として初陣を迎える。
これは俺達には帰る場所をつくる戦争だ
そうだろ
命を懸けてんのさ
そこから先は転がる石のように、どんどん血みどろの戦況になってきて、いったい何の為に戦ってきたのかわからなくなる展開が続く。それでも主人公はへばりついて戦果を上げていく。仲間の死、少年兵、味方からの差別、どうにもならない負傷。
俺達はずっと……帰りたかっただけなんだよな
………お前たちもそうだろ?
なぁ………
戦争は終結した。沢山の犠牲を払って。最後に伸ばした腕の先には何があるのか?
きっと、家に帰りたいだけなんだよ。人生の岐路に立つ時に思う。私達はまだ、家路の途中を歩いてる。
みんな帰る家がある。私だって、今日差別してきたあの人だって、帰るべき某かの家を持っている。
未来は自身で勝ち取るしかない。少しずつ、少しずつ"守るべき自分のスペース"を広げる。戦争みたいに、そして今日も家に帰るために。