day//Dream

アリジゴクの中より(世界の車窓から)

私達はいつだって家に帰る途中である(I am now on my way home 感想)

皆さんに帰りたい家はあるのだろうか。その家には、出迎えてくれる家族がいて………………そんなささやかな幸せはどこにだってある。そう、これを読んでる皆さんだって、帰る家くらいはあるのだろう。

あなた方は今、祖国へ帰還しました。

漫画はこんなカットから始まる。you are now on your way home の訳である。あなた方は勝利しました。差別と偏見とも戦い、勝利しました。時は第二次世界大戦、日系二世にとって日々狭くなる"守るべき自分のスペース"を取り戻すためには、部隊に入り勝つしかない。そんな閉塞感のある時代。ジョンジィはそんな日系二世の青年で、やはり彼もまた戦争に米国兵として join していく……………。

幸せが壊れるときは、いつも血の匂いがする

炭治郎だってそう言ってた。噛み合わない同僚、戦争移住センター、溢れかえる日系人への差別。主人公ジョンジィはそれでもハワイ系だから、日系人の中では締め付けが緩くって、それが節々に出てていいですよね。

帰る場所を作らなきゃ

そんな思いで、戦争に行く。遥か昔の紀元前から、帰る場所を作るために、みんな戦争に行ってしまう。そこには、それぞれの帰る場所への思いがあって、そんなこととは関係なしに主人公はイタリア戦線に赴任して、米国兵として初陣を迎える。

これは俺達には帰る場所をつくる戦争だ

そうだろ

命を懸けてんのさ

そこから先は転がる石のように、どんどん血みどろの戦況になってきて、いったい何の為に戦ってきたのかわからなくなる展開が続く。それでも主人公はへばりついて戦果を上げていく。仲間の死、少年兵、味方からの差別、どうにもならない負傷。

俺達はずっと……帰りたかっただけなんだよな

………お前たちもそうだろ?

なぁ………

戦争は終結した。沢山の犠牲を払って。最後に伸ばした腕の先には何があるのか?

きっと、家に帰りたいだけなんだよ。人生の岐路に立つ時に思う。私達はまだ、家路の途中を歩いてる。

みんな帰る家がある。私だって、今日差別してきたあの人だって、帰るべき某かの家を持っている。

未来は自身で勝ち取るしかない。少しずつ、少しずつ"守るべき自分のスペース"を広げる。戦争みたいに、そして今日も家に帰るために。